夜のピクニック

恩田陸さんの書籍タイトルではありません)
松崎の夜、前夜祭もたけなわ、W本舗からのゲストのにぎやかな盛り上げで、会場は笑いの渦。 その会場をそっと後にする数名のお猿の姿。 夜を徹して伊豆に走ってきた上、明日の下見で15Km漕いで疲れた者、痛めた腰をものともせずに2日続けて10Km以上漕いだ者、人生初の自艇自車積み+お猿の聖地往復でくったくたになった者、初のレース参戦にナーバスになる者、単に明日に備えて早寝を目論む者、気持ちは様々だったけど、飲まず騒がず、ただ静かにうち寄せる波間に輝く夜光虫をしばし眺め、夜空に流れる星にそっと願いをかけ、誰からともなく静かに宿へ。 
宿の駐車場は暗いトンネルの向こう。 ふと、夜釣りな気分のお猿につられて、みんなで駐車場向こうの堤防へ。 はじめは何にも見えなかった小さな漁港も、目が慣れれば夜釣りの人がちらほら、明るい前夜祭会場が暗い海を挟んで遠くに輝いて見えました。
静かに釣り糸を投げる某猿さん。 並ぶでもなく、離れるでもなく、暗い波間や星の輝く夜空や、暗い足元や海岸の光、そんなものを見るともなく見、眺めるともなく眺めながら、黙って堤防の一角にたたずみ、堤防にもたれる、残る数名・・・
ここに集うみんなは、たしかにもう、十分にいい年の大人に見えるのだけれど、実はまだ自転車に乗り始めたばっかりで、夏休み初めての遠出をした海辺で日が暮れてしまった、そんな小さな子供たちに戻ってしまったような、そんな一瞬の錯覚。
いつのまにか、釣り竿をしまった某猿さんが隣に降りてきていて、「・・・こうすると夜光虫が・・・」と静かに釣り糸を静かな海面に垂らして揺らすと、糸の航跡に添ってひときわ輝く夜光虫。 ああ、ほんとうに、綺麗だね。
宿に戻ると、前夜祭はもうとっくの昔に終わっていて、会場に残っていた皆は部屋ですっかりお休みモード。 あの夜釣りの時間は、短かったようで不思議と長く、ああ、ああいうのが「夜のピクニック」なのかも。 幸せな眠りに落ちながら、思ったものでした。