夜の海

花火ツーリングで夜の海へ。

集合は18:30。 日暮れがはやくなってきたことをしみじみと実感する。 光溢れる夏の海辺にばかり来ていると、濃い闇が迫る夜の海辺の内包する「寂しさ」がことさら強く感じられる。

今回の参加者は16名。 ダブル艇8本とシングル2本、お疲れ様です、スタッフのみなさん。。 私はお友達のIさんと一緒、ダブルの後ろで漕ぎましたよ! 台風が抜けて2日後とは思えないほどの、穏やかな海。 ゆったりと上下する波に陸からの光が映りこんで、「油を流したような」という表現はこの風景のことも言うのかなあ、って改めて見つめていた。(注・ほんとは、昼日中のまぶしく白っぽい水面に黄色い光が映りこむ情景を言うんだと思う・・・?)

8月ももう終わりの夏の海、でもこの日は信じられないほど多くの夜光虫を見ることができて、以外な喜び。 手で海をかきまわしても、パドルで海水をつかんで離しても、艇が海を掻き分ける小さな波にも、港の突堤にも、小さく・はっきりと輝く夜光虫の光が満ち溢れている。 去年7月に見た時よりも、数も美しさも増しているようで、海の不思議、再び。だって、もうオフオフシーズン、なんですよ? Iさんにとっては初めての経験で、こんなに綺麗な光をたくさん、穏やかな海でみてもらうことができて、よかった。。 

花火は山の向こうに小さく見えた。 風があまりになかったため、打ち上げの煙がなかなか流れず、後半その霧に隠されて花火がみづらくなってしまったのはとても残念だったけれど、遠く金沢花火大会の花火がこんなところから見られる、というのは面白い経験だった。

尾が島を抜け、長者の横を通って、黒岩手前で崩れる波なんかにも遭遇しつつ、夜のツアーは終了。 涼しく穏やかで、よい海でした。 私とIさんが帰途につく時にもまだ、スタッフは総出でカヤック片付け中・・・ありがとう、お疲れ様!

夜の海に出るたび思うのは、長く航海する人の「精神力」の強さ、だ。 今日の海でも、陸側に近い方、明るく光が映りこんでいる側は人の気配も濃厚で、温かみを感じることができたけれど、霧がたちこめはじめ、見通しがまったく利かなくなりはじめた沖側の黒く沈んだ海を見ることが、どれだけ「怖く」感じられたことか・・・ 海は本当に、いろんな表情を見せる。 レッスンやツアーのある昼間に受ける印象も、同じ久留和でもこんなに違うか、ってほど毎回違っているけれど、夜の海にはもっともっと「深く得体の知れない」なにかが、静かに、密かに、でも確かに存在していることが感じられる・・・生き物の「気配」はきっと、夜の海のほうが強く濃く感じられるのではないか? そんな気がした。 

日本一周などのエクスペディションには、個人的にはあまり食指が動かないけれど、この深く濃い闇を含む海と1ヶ月、数ヶ月の間対峙できる「ヒトという生き物の精神力」には、少し興味がわきはじめた夜の一日。