横顔Ⅱ

昨日からの思わぬ頭痛で、ふとんから出ることもできなかったので、ぼんやりした頭で先日購入したCD「横顔」(矢沢栄吉:東芝EMI)をゆっくりと聴いた。

思い出して、昨年出た雑誌「TITLE:矢沢栄吉 その照らし出す世界(2004年10月号)」も探し出し、読む。 この雑誌、私がシーカヤックにのめりこみはじめた時期に出たので、買ったのに中を読んだ記憶が全くなかったんだけれど、「横顔」作成過程レポートがはいっていたりして、結構な読みでがあった。

キャロル解散が'75年。それから約30年がたとうとしているのだ、ということを改めて知る。 私がカヤックを一緒に漕いでいる人の中には、まだ生まれてなかった人がたくさんいるな、'75年っていうと・・・

この長い期間、芸能生活を続けながら、あのオーストラリアでの巨大詐欺事件を経ながら、褪せることのない彼の存在感・歌唱力の凄さ。この人が枯れることはないのだろうか。

『矢沢は勘がいい。
それは、矢沢が臆病だということでもある。
臆病というのは、いつも自分にクエスチョンしてるヤツだ。
「大丈夫かな?」
「お前後悔してない?」
「気持ちいい?」
「なにかおかしいと感じる?」
自分を理屈で納得させる。
(中略)
臆病というのは本当は奥深いものだ。だって、臆病っていうのは、ある種のレーダーじゃないか。』
(『アー・ユー・ハッピー?』矢沢栄吉:角川文庫より抜粋)
本作中「臆病について」の章に書かれている、彼の芸能界を生き抜くにあたって貫いてきた主義は、平凡な生活を送る私たちにだって十分参考になるものだ。

そして、これにも増して私の心を捉えるのは、現在の彼の「ナチュラルさ」。 巨大なエネルギーを内包する人が、周りを弾き飛ばすことなく、なぎ倒すことなく、巻き込み振りまわすことなく、自分を自由闊達に、自然に表現する姿。

今年は、中村勘九郎さんと共に、この人からも目を離さずにゆこう、と、思い始めた。