道具は使うもの:impression (1):「フルドライスーツ」

tomboy72005-01-23

舟は乗るもの。 人は添うもの。 で、道具は使うもの。

昨日は、私にとっては「ギアデビュー三連戦」の日だった。

で、生意気にも「私的試用報告」なんか書いてみようと思う。

今日は、フルドライスーツについて。
▽「mont-bell DRTC.(ドライテック)ドライスーツ・サイズS」 定価:税抜き39,000円

先日のブログでものすごく「見栄え」についてこきおろしたこの商品。 横浜みなとみらいの直営大型店舗で試着した時も、店員さんもびっくりのオーバーサイズ。 また、以前ドライスーツについて丁寧に相談にのってくださった某店長が「とにかくかっこわるくてかっこわるくて、おススメできない」と最低の評価を下していたことも、私のこの商品に向ける「事前の期待」とか「愛着」とかをそいでいた、と思う。
で、結論から先に言うと「冬に海に出たい寒がりさんは、とりあえずこれ、買いでしょう」。

▽当日のレイヤリング=ドライスーツ
  +(上)finetrackブリーズラップ、フラッドラッシュスキン
  +(下)finetrackフラッドラッシュ、フラッドラッシュスキン
▼当日の天気:終日快晴・風2→1・波1 気温7度 水温16度

  • 着用感のよいところ:おろしたてということもあるが、水が入らない・はじく。 袖口にサーフィン用の手袋をかぶせると、うれしいくらい水も入らず、冷たさも感じられない。
  • 着用感の悪いところ:手首・足首で、下のレイヤリングの袖口・足首部分と重なり&締め付けるため、かなりうっ血する。特に足首は、アンダーとドライスーツ、シューズそれぞれが足首ぴったりサイズなので、相当きつい思いをする上、結局濡れて冷えるのでつらい!(足首が太いだけか・・・)スーツ内の空気をきちんと抜いて艇に乗ったつもりでも、漕いでいるうちにいつの間にかかなりの空気がスーツに入ってしまっている。これはどこに気をつければ減らせるのか、よくわからない。(←実はこれ、相当ヤバいことでは)
  • 着用感・これから:とにかくこの撥水性がいつまでもつか? ロール練習の時、首から水が入るか? 胸のジッパーは普通品な上、中は結局「ドライバッグと同じ」考えのぬるい設計なので、絶対ここからも水がしみると思うがどうか? 膝・お尻部分が、ウエットスーツに比べれば全然薄くクッション性もないため、長く座っているとお尻から冷える、膝がコーミングに当たって痛い。これらをどう回避するか。相当汗をかくが、ブリーズラップに保水性がないので、長時間のツアーで大量の汗をかいた場合、その水分ってどうなるのか? 天候不良(冷たい曇りや小雨&雪?!)の時、その寒さや風がどのように身体に感じられるか?
  • 着用感・見栄え:・・・語ることなんてありません。

シーカヤックを春なり秋に始めた方は、初めての冬を迎えるにあたり、「どんなものを揃えたらよいか」不安になって、自ら悩んで雑誌やネットで調べたり、まわりに聞いたり、スクールの先生に相談したりしたことと思う。 私はこれを全部やった上で(・・・クドい)、横須賀・久留和の海でカヤックに乗って10年のオーナーアドバイスに添って、以下のレイヤリングで冬を越すつもりだった。
・(上):irセミドライジャケット(2003年モデル)、finetrackブリーズラップ(S)とフラッドラッシュスキン(S)
・(下):ショップ特注のウエットスーツ(3mm+裏地つき)

スクール参加者を見回すと、(上)のアンダーが「ショップ特注品(3mmウエット?)」という違いはあっても(finetrack製品が今年冬の新製品なため)、このレイヤリングで海に出ている人がほとんど、だ。
セミドライジャケットがPalmだったりMTIだったり他社製品だったり、まあそこらへんが趣味と出会いの違いで様々、また、アンダーのウエットスーツの上にオーバーパンツを履いている人もツアー参加者には多い、かな。

まずはっきり言えることは、「オーナーのアドバイスは正しい」ということだ。 何といっても練習の浜の側に長く暮らし、その冬の海でたくさんの生徒を教え、その経験がアドバイスに生きている。実際、このレイヤリングで十分、と言う先輩女性は多い。
じゃあ、何故冒頭のセリフが結論なのか?「冬に海に出たい寒がりさんは、とりあえずこれ、買いでしょう」

ポイントは「寒がりさん」と「とりあえず」。 
実は私は、海に出るまで、「自分がどれだけ冷たい水に弱いか」をよくわかっていなかった。 当たり前である。 だって、四季を通して海に入ったことほとんどなかった、し、当節蛇口をひねると自宅でも会社でも40度くらいの水は簡単に出る。
12月のロール講習が海で行われた時、水温は確か16度、気温も確か10度をきっていた。 一回海で艇をひっくり返して水が全身を覆った時点で、「もうだめだ」と思い、何回も練習し続けるうちに、まず手先から冷えが上がってくる、頭皮にあたる海水が痛く感じられる、カヤック内にあって風・海水の影響をうけないはずの下半身もウエットスーツの濡れでどんどん体温を奪い取られていった。
私はもう、一日の練習の間に2回艇庫に戻って温かいシャワーにあたっていたけれど、半日だけこの練習に参加した別の女性も、休む間浜辺で本当に震えていたし、私共々このあと風邪をひいたものだ。

ロールの練習をしなければ、こんな心配はいらない? 確かに、その通りだ。でも、他の練習で思い切りリーンかけたり、ブレイスでブレードで海面をつかんだつもりで、結局海にこけることも十分考えられる。
また、ツアーの時なんて、いつ何時どこで謎のオフショア突風が吹くかわからない。 なんでもないところでとんでもない風、本当に吹くんですよ。

ドライスーツ着用は、こういった不測の事態に対して、まず「安全」、そして「安心感」を与えてくれる、と思うのだ。
初心者ほど、不意の事態に弱いし、不安がそのままパドリングに影響する。 海の上では力を抜いて、と言われても言われても、物理的に寒くて身体が固まっている上に、心理的に不安で海にのまれ(まではいかないか・・)てしまうと、不意沈などで嫌な経験をしてしまい、シーカヤックから足が遠のいてしまうなことになるように思えるのだが、いかがなものだろうか?
「とりあえず」手の届く範囲のドライスーツで安心感を得、冬の美しい海を堪能しながらちょっと練習もして、半年〜一年と海に出続けるうちに、ロールも上がるようになるだろうし、高めの波・強めの風にも怖じけず対処できるようになる。 そうしたら、次の冬シーズンは思い切ってレイヤリングを変えてみて、自分の反応を見る。

「冬の美しい海を堪能することと、適切なウエアを揃えることはある意味同義語かもしれません」(←うろ覚えなので後日修正します)。 葉山にある他スクールの方に言われた言葉。 確かにそのとおり、と、今は思っている。

(追記)
ドライスーツを着用しているKBガイドさんに「ドライは後始末が楽ですよ〜」って言われた。 家に帰って、確かにそのとおりであることを実感! 水で流して、表裏乾かす、だけ! 今の時期、ウエットなら、水に浸けて30分、乾くのに4−5日はかかるから、これは嬉しい! そのうち蒸れたにおいが気になるようになったら、Sさんもお薦め!ファブリーズを登場させましょう。。

(追記2)
この価格帯のドライスーツは、あとアオキカヌーとPalmから出ている、と、購入前に某店長から教えていただきました。ありがとうございました。。 Palmのものは、XSサイズがあるため、小さい女性の方にはよりよいのかもしれません。(T社に在庫あり?)全品見て・試着してから選べればよかったなあ、と今でも思っています。