ツアー中断

しばらくの休息の後、再びツアーは昼食の場所である城ヶ島大橋下へ向かって出発した。

ここから先は、沿岸沿いに進めず、午前中から強まってきたオフショア風の直撃を受けながら海上を進むことになる。 海上は結構な波、というより、風波、そして、時折吹く突風が、まわすパドルを吹き飛ばさんとする。 

出艇直後から、ガイドのマッキ〜からは、先日のb2で習ったラダーを使え、と何度も指示が飛ばしていた。私のショアラインと、レース艇にはラダーがないので、特にこういったコンディションでは進行方向が定まらず苦労するのだ。

ラダー。 実は瀬戸内のあの超のつく穏やかさの中、ダブル艇の前でちょこちょこ練習していたおかげで(無駄?)、やっと右ラダー時にパドルが艇の外に構えられる程度にまではできるようになっていた・・けど!

追い波追い風、突風・風波。時折崩れるサーフ。 もう、ガイドのダブル艇から5メートルと遅れないようについてゆくのが精一杯だった。でも、付いて行けては、いた。

ここで、レース艇の男性が波にあおられ、沈脱。
残るシングル艇に、「風上に向いて一時停止」の指示を出し、ガイド艇がレスキューに向かう。 ・・・ところが、残る私も含めたシングル艇が、進んでいないと全く安定しないのだ!
見かねたマッキ〜が、「シングル艇は各自出艇地まで戻る」よう指示を変更、レスキューをしながら、振り回されるシングル艇に目配りまでしなくてはならない、結構大変な状況となってしまった。

実際、この海況は私の「漕力限界すれすれ」だった。 何度も「出艇地へ戻れ」と声をかけられるも、そうしたくても、艇を回すことがまず全くうまくゆかない。リーンとかスイープとかそんな問題以前に、とにかくどんなパドリングも、「波に押し戻され風に流される」最悪ともいえる状態に。見かねたマッキ〜から「まわれなかったらそこで待て」と指示を変更されるも、そういうガイド艇の姿をしっかり把握すらできない状態(位置)に流れてしまったため、とにかく先に出艇地へと戻りつつあるシングル艇を目印に、必死で艇を回した。

回る物である、ラダーがなくても、艇。 ありがとう、ショアライン。 いつもマッキ〜に言われる「落ち着いてパドルをゆっくり動かせ」「ローブレイスで艇を安定させろ」「ラダーを入れて(どっちがどっちだかまだ混乱中)波に押し倒されないよう艇を支える」ということを自分自身に必死に言い聞かせ、艇が倒れそうになっても「倒れない」と信じ、何とか艇を出艇地へ向かって進めることができるようになった。

こんな時でも、漁師さんの船は全く動かない。 遠くに点のようになってしまったツアーメンバーを目で追うのを諦め、停泊する漁船と陸上の建物を目印に、必死で艇を陸へと進める。

本当なら、ここでガイド艇を確認しながら戻るほうがよいと思うのだけれど、私にはその余裕が全くなく、心配を残しながら時間をかけて何とか出艇した岬の内海へ入ることができた。
先に戻った二人と共に、心配しながらガイド艇と沈脱したツアーメンバーを待つ・・・・・

見えた! 漁船の陰から、2艇のカヤックが近づいてくるのが見えた時には、心底ほっとした・・・!

沈脱したメンバーは、帽子と水を失くしたけれど、後は問題なく元気で、ただ相当ショックを受けている模様。
ガイド艇から「ここでお昼にします」ということになった。