太鼓隊長・わたるさんのワークショップ

先日のアフリカンナイトで太鼓隊長として参加された、田中渉さんのワークショップが、茅ヶ崎市青少年会館でおこなわれたので、写真をお渡ししようと、足を運んだ。

会場に入ると15名以上の参加者がすでにわたるさんの指導でジェンベのリズムを刻んでいた。 キャンプに参加された江田さんと鈴木さんの姿も! 私はスタートに遅れたこともあって、今回は見学させていただくこととした。

わたるさんの指導は、メリハリがあって的確だった。「太鼓のリズム」をどうやって参加者すべてに「言葉」でわからせるのかな、と思っていたのだが、リズムに乗せた太鼓の音の表現は、存外にわかりやすく、傍で聞いていると相当複雑なリズムも、参加者は次々とこなしていくのが見事だった。 わたるさんのしっかりしたリーダーシップが如何なく発揮され、隊長のすごさ・太鼓の素晴しさがダイレクトに伝わってきた。

でも、この日私が特に感動したのは、「太鼓」ではなく、わたるさんの奥さんと、この春に生まれたばかりの息子さんの姿、だった。

ワークショップでは、ジェンベ15台のほか、他タイプの大きな太鼓、パーカッションが結構な音量で鳴り響き、そのリズムが最高潮になると、建物の壁や天井がビリビリいう、それほどの勢いだった。 そんなワークショップの会場に、息子さんはベビーカーに乗せられて静かに眠っており、ほんの時折思い出したように「ああ、」と声を出す程度で、よく眠っていた。 奥さんは赤ちゃんをあやしつつ、編み物をし、会場の写真をとり、わたるさんを見守っている。 
太鼓のリズムがいい感じにまとまってきた、と思えた時。
音色にさそわれるように、奥さんがすっと立ち上がり、ゆるやかにリズムにのって踊り出す・・・息子さんをあやしながら・・・・すると、息子さんの手脚も、太鼓に応えるように、小さいリズムを刻み出す・・! とぎれない太鼓のリズムに、奥さんは息子さんを抱き上げ、リズムに乗せてそっと揺する・・・・嬉しそうに笑う、息子さん・・・・

「美しく聖なるもの」を、そっと目にすることができた、そんな気がした。 はるか太古の昔から、家族ってこんなものだったんだな、ということを、思い出させてくれる、とても素敵な光景だった・・・

茅ヶ崎からの帰り道、かなり長い間、音楽をかけず、この余韻にひたった。 

コアに来るようになってから「素敵な出会い」にたくさん恵まれてきたけれど、これはちょっと「特別版」だった。
「家族を持つ」ことが、心底うらやましく感じられた、そんな一日となった。