想う、海

tomboy72007-03-04

ここ3日間ほど続いた、海日和。 出られませんでした。。 仕事と手首の故障(注:酔っ払いの馬鹿力による)で。。。 でも、あと少し:来週はPドルコーストなので、それまでがんばろっと、仕事。 手首は「やっと字が書けるようになった」くらいの回復途上。 間に合うのか、カキカキ・・・
漕ぐのはとにかく、遅いほうです。 海に出てからのキャリアは結構あるようで、その実、ケガとか故障、ツアーパドラー時代などでシングル艇に乗ってない期間も長く、ほんとうのシングル歴は、昨年4月、現在所属のうみうしへ移籍した時から始まっていると思っています。
ツアーの記憶は、だから常に「誰かの背中」。 目指して漕ぐのは、どっかの目標物ではなくて「先行集団」「グループが休憩している地点」、ガイドさんの地理・観光名所説明なんかもほとんど聞けたことはありません。 ダブル艇に乗ってすら、同じ。 ほっとほと、、ビリッケツが身に染み付いています。 速い人の後ろについて、とにかく速度を身に着けろとも言われますが、高速巡航グループについて行かせていただいても、また見えるのは「誰かの背中」。 自分ひとり、止まっている時間がない漕ぎ。 いつもあせって謝ってたり、ひとりだけ人と並んで漕いでない、話せない・・・ 
悩んでいた昨年秋、信頼する各方面からいただいたご意見は同じでした。 「とにかく自分に一番あった漕ぎをまず身に着けなさい。 うまくなる・速くなるのは、それからで十分です。」「自分にあった楽しみ方を見つけなさい。」 ありがとうございました、先達の皆様。 
そこから始まった、ひとり漕ぎの日々。 ちょっとうねってても、ちょっと風が出ただけでも、おどおどびくびく。 一色湾内の、小磯ライン・柴崎ー長者ライン間、そこには私にしか見えない線が引かれていて、少しでも苦手と思えるコンディションの時は、とにかく「ライン1」「ライン2」まで出て、一回転回して戻ってみて、それでも大丈夫だったらまたもう少し出る。 一色湾内でよく楕円を描いているのは、そう、私です。。 そこを越えられれば、小磯沖(っていうか離れたとこ)から長者が崎海水浴場へ向うか、尾が島に直進する。 尾が島へ向う場合も、長者の先から、尾が島の久留和よりに入るか、沖側に向うか。 長者に入るうねりはどんくらいか? 風はどっから来るか? 尾が島も、どれくらいまで近寄っていいか、近寄るならどっち側から入るか。 つり船やプレジャーボートの停泊ポイントも、海・風のコンディションでほぼ決まっているので、数と位置をよーく見る。 たばこの煙が遠くからでも香ってくるか? たばこ吸ってるのになんにも香らないか? ってことは風は? 停泊中の漁船、どっちを向いてるか? ウインドサーファーの数は、場所は、速度は、向きは? ジェットスキー? ディンギー? エンジン船の音がどっちからどれくらいで聞こえる? とにかく360度(のつもりで280度くらい)を見回し見回し、全身(ヘボ)センサー状態。
でも、それでも。 海の色、空の色、雲の色、雲の流れ、風の感触、海や磯の香り、日の光、波間の照り返し、波の音、遠くうねりが寄せる様、艇の上下、ハルを押すうねりの柔らかさ、くるりと波間から顔を出すウミウと目があう、カモメに伴走(?)される、ウミウに囲まれる。 大きな魚が目の前で跳ねる、と思ったらまた飛び上がる。 小魚の群れが一斉に跳びあがる。 艇の横をさっと走る大きな魚の影、海の底にゆらぐ海草の濃い翠、間に透けて見える白い海底、うねりをかきわけるバウの両側に広がる航跡、パドルを伝って飛び散る海水、パドルの抜き差しの静かな音。 心のスクリーンに残る風景の豊かさ! 目を閉じると、ショートフィルムのようにそれらが静かによみがえってくる、嬉しさ! ひとりで漕ぎ出そうとする時の「えいや!」という決心が報われるのは、この至福の時のため、と、いつも思うのであります。
さてさて、次はどこまでいけるかな。 うみうし様には、本日特別にナビゲーション講習をいただきました、ありがとうございました。 これからもがんばりまーす!