NAVI(後編) −けむナビ・佐島ツアー−

(6/18日曜日日記の続きです。大河ブログ、6/22無事完結!)
雨やまず、雨脚強まる・・・。 昼食をとるも、けむ師・YS先輩・私のテンション、上がらず・・・ 寒いとかそういうのではなくて、なんていうんでしょう、「じめじめ」?  海は穏やかなのだ。 思い出してみよう、5月。 「週末は大風」が定番、だった。 一色で、艇ごと、波や風にひっくりかえされていた日々が思い出される。 と思うと、穏やかな海況はもったいなくて、スクール中止とかも言いたくない。 テンション低めながら、恐らくけむ師もそう思われている気配。
とにかく、午後の部スタート、浜へ向かうと、コアツアーも出発したところだった。 師匠ご挨拶に向かいたいものの、私も既にスクール中。 YS先輩がお話に向かったので、お任せする。 そこにけむ師、「佐島行ってみる? 自分で。 俺たち、いないってことで。」

お題は「尾が島経由で」「佐島に行って」「大浜に戻る」。 そんだけ。 師は、危険なことがあれば都度口を挟むものの、基本的に全行程「ひとりのつもり」で進め、とのお達し。 『けむナビツアー』・・・?!

さて。。 見ること、いっぱい。 やること、いっぱい・・・・なんとなーーく、小さく巻いてるヒデキポイントをまずよけて沖出しするとこから、もうモードは必死。 どこまでこのエネルギー、続く??

【中途・注】
この後、地形や波・うねりの癖、特徴についての記述が続きますが、これらは地学的に根拠のある記述ではなく、また裏づけとしての地理データがあるわけではなく、あくまで筆者の大変乏しい知識と一日の経験を、忘備録的に書き留めたものにすぎません。 本ブログをお読みになる方は、私のメモ程度の記録のみを決してご参考とされず、それぞれが信頼をおくプロ・アウトフィッターのガイド/インストラクターに直接指導を受けてくださいますよう、ここに改めてお願いする次第です。

さて。引き気味の潮、長者から尾が島は地形的に繋がっていて、長者先端から尾が島を結ぶ線は、とにかく浅い。 あと、尾が島周りも、台形に上がってる?? 昔ちらっと聞いたけど忘れちゃった・・・ 引き具合とうねりの入りかたで、きれいで恐ろしい大波が、上がって巻き、崩れます。 大師匠の写真でしか見たことありませんが・・・
正直なところ、今日は「潮が引いてるだけ」だから、小うねりで時たま海面が盛り上がる、にしても、巻いたり崩れたりは普通しない、と見た。 けど、たまに変な形に上がったり崩れかかったりしてるように見えたので、第一のお題「尾が島回って」を早々にあきらめ、尾が島−長者中央ルート、そう、よくスクールで通った道筋を目指してみる。 けむ師「あれ? もうやめちゃったの?」っていう目でご覧になるので、「引いてるから真ん中通ります〜」と涼しい顔。(ウソつき)
久留和側から長者を見るのはよくやってたけど、長者側からルートを意識してのアプローチは初めて。 以前サーフ講習時に、割れない道筋として通ったのはどこだっけかしら、と、漕ぎながら両側見るけど、・・・よくわからん。 極端でなく長者下寄りがいいのはわかってるのだけど、ええと。 どこまで寄ればいいの? と、悩みつつ、とつとつと進む。 けむ師、「そこに岩あるのわかってる?」 私「一応よけようとしてるつもりなんですけど・・・」  運転免許の試験のよう、「見てるつもりじゃだめ」 尾が島を右に見つつ、なんとか無事に通過。

思い出すと、進行方向左を全く見てませんでした。 進行方向前方(目指す先・佐島)と、進行方向右(波が来る方)ばっかり。 ペース配分なんてまだできるわけなくて、一定の速度で進路をぶれさせないことにひたすら集中。 左手黒岩越えたとこは覚えてますが、港入り口や港手前の防波堤、いつ越えたか不明。 また、ほんとにひとりでここ進む場合、久留和に寄って休むべき? その日のコンディション(海×風×天気×自分)次第?? 久留和寄港すると、出入りにプラス15分×2・・・いや、そんなもんではすむまい・・・えっと。 あれ?

ここで私は一旦真っ白に。 何が起こったかって? そう、佐島って、どこ?! 以前からわかってはいたんだけれど、、私の頭の中の海地図には、久留和〜柴崎(おぼろげに菜島)までしか、はいってないの・・・そう、立石から先、どこが何だか、見えててもわかりません・・・

あまりにかわいそうと思われたか、けむ師「あの山ががくっと落ちてるとこ、あの下が佐島」。 僅かな「質問券」一枚消費〜・・・ 私の記憶が正しければ、、そこまでに確か2箇所に網が・・・えーい、、とにかく網がでるまで、進んでやるう!

幸い、往路だけあって、ペースは落ちない。(注:あくまで自分比) YS先輩にはちょっと遅すぎるペースなのは以前yshi夫妻と一緒に佐島行ったときと同じ。 けむ師と穏やかに談笑されたり、ちょっと先へ進んだり。 ごめんなさい、、遅くて・・・と、右後ろの伴走けむ師、「ふわああああ・・」と大あくび・・・・「いや、心配することないからさ」・・・雨だけはしっかり降っているものの、それ以外はしっとり静かな梅雨の午後。 漁船も少なくて、、安心な日で幸いでございました。 ・・・・ だがしかし、この時すでに、静かに音もなく、あるものが、私(たち)のツアーの少し先に襲い掛かろうと待ち構えていたのだった・・・それを知るけむ師、何度も「まわりは見たか」「もっと見て」と指示を飛ばされていたのだけれど、さすが素人・私はこの時点でこれに全く気がついておりませんでした。 再三のけむ師の注意の意図、も。

練習中のヨットが進路を左右に横切ったり、その指導船がヨット全体に遅れてついてきたり、、ああ、じゃまだなあ。。 次どっちに行くつもりなんだろう。 漁船の接近1回、、いや、あれ?、、2回?? 横断1回。 やっと出てきた(定置)網を沖側に避け、以前YS先輩ガイドの佐島ツアーの記憶を一生懸命探りながら、岸側の景色も見つつ進む。 芦名?を過ぎて(ここは地図にて再確認します)、海を見下ろす豪華な建物を見て。 目指す佐島の「青い壁」「**水産」、はっきり見えるようになりました。 右手に、上陸禁止の**島(地図見て修正予定)も全景を見わたせるように。 ここまで来ればもう、佐島はすぐそこ、白砂美しい海底は、雨脚の強い今日はまったく見ることができず残念・・・  はー、やっと到着かあ。 ブイにとまる2羽の海鳥をシーカヤックと見間違えたりして、人の少ない海でちょっと寂しかったんでしょうか、私。 (注:けむ師は、右後ろ2-4Mのとこをずっと静かに伴走してくださってました)

佐島に入ろうかな。 YS先輩も近くに戻られ、なんとなく3艇でかたまって、佐島を向いて休憩。。 と、そこでけむ師「じゃあ、振り向いて見て」。 !! ・・・?! 「長者、見えないよね。」 見えないって、長者が見えない、どころではありません・・・ 芦名手前くらいまでしか視界がない・・・そう、ツアーの往路中ずっと、山から静かに霧が降り続けてきていたことに、私は全く気がついていなかったのでした。 何回も「まわりよく見て」「振り返ってる?」けむ師の重ねた問いかけの意味は、これ。  

よみがえる昨日の「真っ白な海」。 霧は、引いたと思ってもあっという間にまた戻ってきて、開けたと思った視界を見る間にさえぎってしまう。 空気の流れのせいなのか、昨日S洲様とお話していた間中、長者のお池には「沖から」霧が迫ってきていました。 大浜出艇直後、大島の風速を問う私に対し、けむ師が「今日は梅雨前線が下がってきてるから、大島の風とかのデータじゃあ読みきれない、都度よく見てないと。」とおっしゃってたのは、、はー、これでしたか。 

はーこれでしたか、では、ない。 ・・・ええと。 これ、帰っていいんでしょうか。 諦めて佐島で上がるべきなんでしょうか。 見つめる私に、けむ師「自分で考えて」 ・・・・考えても・・・・・ 

 帰っていいのか。 実はものすごく、危険なのか。 判断できる根拠なんて私の中にはありませんでした。 どちらへ向かって漕ぐのか、も、見える範囲でしか考えられないし。 大丈夫かもしれないと判断できる材料はただひとつ、「海はどちらかといえば穏やか」。 悩むこと、長いようで多分1分程度、とそこに、佐島からソロカヤッカーの方がするりと現れ、ご挨拶してそのまま久留和方面、へ。 うーーん。 「じゃ、出ますか」by けむ師。 正直言います。 つられて出ました、私。 前のカヤッカーさんと、けむ師と。

往路の陸との距離の、半分以下、岸沿いと思われる場所を恐る恐る進む。 ツアー復路は通常往路より格段近く感じられるものだけれども、今日はその「距離感」自体があいまい。 遠くの目標に向かって進んでない(見えてない)から、陸の景色の移り変わりだけが、距離・速度の指標・・・いや、海上のブイとか網とかも、一応目安にはなってたけど・・・

うねりのないところを常に選んだつもりの往路と違って、ルートを岸べたにとってるから小さなうねりが確実に左から入ってくる。 岸が近いから? 視界が狭くなってるから?? ああ、うっとおしい・・・ 前を進むカヤッカーさんの進路も、つられるようで見たくない反面、「あの人が大丈夫なんだからこのルートでいいんでは?」という気持ちも働き、頭ぐるぐる。 視野が近いとこに集中してるからか、見ているつもりの旗とかブイが「急に浮き出てくる」印象。 前のカヤッカーさん、網を堂々横断しちゃったので、内心愕然。 で・・・どこが網の切れ目なの??

私が混乱しているのを見かねてか、けむ師・YS先輩、さりげないフォローをよくくださるようになる。 左から漁船、来てるのは知ってたけどあんなに近いとは思いませんでしたよ〜・・・ 

芦名を過ぎたへんからは、濃く真っ白な霧を背景に、前方に長者の影だけが浮かび上がる状態となった。 「シルエット長者が崎」、私も初めてだけどけむ師もYS先輩にも珍しい光景らしく、おふたりとも感慨深げ、「こんな形してたんだねえ」。 
立石手前くらいからは、波がたつわけではないけれども複雑に上げ下げし始め、ちょうど来た私の「ペースダウンタイミング」とあたって、どんどんスピードが落ちる・・・・ 「この辺、一度全部海水抜いて、海の底見てみたいよね」というけむ師、「津波がくればぜーーんぶ引いて見えますよ」という答に、インドネシア地震の映像を思い返され、さかんに「怖い怖い」と繰り返される。 私だって怖いですよ、、今だって。。

常に目標にバウをあわせて漕いでいた往路と違って、復路は「こっちでいいかも・・」程度の不確実な進行方向どりだったので、何ていうんでしょう、艇のスピードが乗らず、進路も常に右往左往してたと思う。 加えて、波に振られた疲れとか、前をゆくカヤッカーさんとの進路選択の違い・速度差なんかで妙に注意力が散漫になり、結果集中力がなくなってきて、疲れが・・・・ ここらへんから「ソロツアー」の形は崩れて、「ガイドツアー」に変更。 久留和通過するも、過ぎたことは知ってても「海岸にコアの艇らしきカヤックが上がってた(けむ師)」とこまでは見えず。 長者下らへんは、うねりもなくさっきまでの妙な波も落ち着いたのに、スピードあがらず、っていうか、もうそんなエネルギーなし・・・・

往路より潮はあげてたはずの尾が島周辺、もう記憶が散り散りですが、確かとても穏やかでした。 ただ、私がひたすらペースダウンし続けた、だけで・・・ 尾が島過ぎて、長者下過ぎて、長者の先らへんに着いた時、視界がどうだったか。 遠景でどこまで見えたか、柴崎は? 江ノ島は? 全く記憶にありません。 自分の半径(前と右)50メートルくらいしか見てなかった、です。 もう、、そこまでしかエネルギー飛ばせませんでした・・・疲れたよう。。。

本当は、大浜に戻って講評して解散、のはずでしたが、私にもうそんな力残ってないのを感じ取ったけむ師、「一色まで送るから、あがっておしまいにしましょう。」 ・・・お心遣い、ありがとうございます。。

一色に戻ると、疲れからさらにペースが落ちて、ほぼ「ただ波に押される」状態になってしまった私を心配そうに見るけむ師。 海岸を見渡すと、局長がONさんの半日スクール、波打ち際でサーフ練習中。 そう、一色道場に弟子入りするには、サーフは「必須技」ですから・・・・(注・もちろん、「艇庫番見習い」の私、まだ艇をコントロールできるようなレベルではございません)

降り沈しないように指示をいただき、無事一色着岸。 はーー、、疲れた、、、 「また何でも質問しなさい」と言い残し、けむ師は大浜へと帰ってゆかれました。

午後ずっと雨。 上がりきらない気温に100%近い湿気、幸い思ったよりは濃くならなかったけれども十分深い霧の中、いろいろご指導をいただき、本当にありがとうございました、けむ師&YS先輩。

片付けて、クラブハウスに上がればもう疲れで何も考えることができない私がひとり。 遅れて海から上がった局長・ONさんと鉄腕ダッシュなど見ても、・・正直上の空、、でした。 残念ながら「逗子・夜の部」をキャンセルして、早々に帰宅いたしました。 お会いできず心底残念でした、andy氏 & Katsu氏。 次にお会いできる機会を心から楽しみにしております。。 できれば「海の部で」!

盛りだくさんな一日。 一回の講習でこんだけの文章になったのは、それだけ私の中に得るものが大きかったということ。 ほんというとこの翌日「ツアーをふりかえって」の質問に対し、丁寧なご返信による指導までいただきました。

決してソロを目指しているわけではないけれど、一緒に漕いで頼りになるパドラーを目指すへなちょこ・一匹。 うみうしの先輩方、一色/大浜に集うたくさんのカヤッカーさんたちに導かれつつ、これからも少しずつ・楽しみながら上達していければと思っています!  

(本当にここまでお読みいただいた皆様にも、心から感謝申し上げる次第です。(筆者))