ハードル

「シーカヤックって、もっと簡単だと思って始めたけど、こんなに大変だなんて思わなかった・・・」 ロール練習中の、自艇派友人女性が先日ぽつりとつぶやいた言葉。
スクールでカヤックに乗り始め、ツアーでその楽しさを知って、自艇を持った時、「こんなに大変」の意味する大きさに違いはあれ、こうつぶやいた人は多いのではないだろうか? 
基本的に筋力の弱い(ない)人(=代表は私です)は、一個めのハードル=シーカヤックおよび付属品一式を自分で海まで運ぶ/海から戻す、にまず苦労する。
二個目。 「海」がわかんない。 海岸に持ってきて、さて、はたと立ち止まる。 よっぽどのべた凪ならともかく、普通の海なら波ありうねりあり風あり。 もちろんいつも同じ方向/強さじゃない。 凪だったとしても、ほんの10分後に何がやってくるか、誰にもわからない。 天気予報は見た? 天気図は見た? 潮汐は? 実際に見た海は/空は? 正直なところ、予報を全部見てたって、どれだけじっくり今の海を見ても「これから先の海は、わからない」。 今日、ほんとに自分は海に出て大丈夫・・・?
三個目。 「自分の力」がわかんない。 レスキューは、習ったことはある。 パドルフロートとビルジは持ってる。 身に着けるものもきちんとしてるし(PFD、スプレー、装着方法)、水も携帯も持てって言われてるから持ってる。 でも、じゃあ、どんな海なら大丈夫? どんな風なら大丈夫? どこまでだったら、どこを通れば行ける? ほんとにひとりでセルフレスキューできる?ひとりぼっちで。 持っている道具は使い物になる? ひとり漕ぎの気力は、いつまで・どこまで続く?
四個目。 「自分がひとに何ができるか」がわかんない。 海に出るのが、ひとりではなくなった、としよう。 ラッキー、誰かが側にいるだけで、海での安心感は格段に、増す・・・・ほんとに? 相手に何かあった時。 自分に何かあった時。 仲間に何かあった時。 自分に何ができる? 相手は何をしてくれる? 仲間に何ができるだろう? 仲間は何をしてくれる? 「何か」が起こった海で。
五個目。 「自分の艇で遠くに遊びに行けない(運べない)」。 そもそも、いきなり自艇を買っていきなり海に出る方も多数あるので、これがここの順番なのは不思議っていう人もいるでしょうが、、 「カートップすればいいじゃない、車持ってるんだし」 それがすぐできれば、苦労はしません(涙)
これら五個をを全部クリアするまで自艇を買わなかった、っていう先輩女性を知っている。 それが「正しい」んだろうなあ、って思った、けど・・・・

このほかにもハードル、たくさんあります。 そもそもシーカヤック活動に、お小遣い月いくらかけられるか、時間は週にどれくらいかけられるか。 仕事との兼ね合い、住居と海との距離、ご家族/恋人があれば、そちらの都合との兼ね合い。 保管場所・メンテナンス・日々進化する(??)道具の情報収集、情報交換・スキルが変わる(上がる)、体力が変わる(上がる場合と落ちる場合あり・・)ことによる自艇/道具の再選択。 身体の故障とリハビリ。 フィールドの変化(当節、1年で砂浜の形が激変するらしい)、環境の変化、所属グループの変化、人間関係(どんな世界でも、実は一番難儀なのはこれじゃないかと、私自身は思っているが・・・)。

ハードルの越え方に、共通解はあるのだろうか? あるならいったいそれは何? 自分なりの解を見つけるために、今年はとにかく地道に練習を重ねようと思ってます。